2012年10月20日土曜日

◆NHKラジオ「世界的景気後退の先を考える」

NHKラジオあさいちばんの10月19日放送・経済アナリスト藤原直哉さんのお話です。


                     
1,今の世の中はどうなっているのでしょうか

2,早くまた昔の景気の良い時代に戻るのか

3,各界のリーダーがどうなのか

4,来年はどうなのか

下の矢印でも、その下の赤のNHKからも入れます

10月19日(金)
放送分
経済アナリスト
藤原直哉さん(ふじわら・なおや)
世界的景気後退の
先を考える
聞く

http://www.nhk.or.jp/r-asa/business.html

大恐慌時代に突入していることをご理解ください。
最大の原因は各界リーダーに危機感がないことです。
目の前は巨大な滝なのです!

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【文字起こしが出ました】

世界的景気後退の先を考える

Q:世界的に景気が一段と悪くなってきたようですね。
・先進国でも新興国でも経済成長が減速してきている
・07年のリーマンショック後の景気対策、市場下支えの効果がすべて出尽くし、各国最大限の金融緩和を行なっているがそれでも景気は上向かず、財政はどこも大赤字で本格的な支出拡大は不可能。まさに打つ手なしで世界的に景気は自律的に下がってきている
・中国など近年大量の投資、投機資金が流れ込んだ国々ではバブル崩壊現象が広がっていて、それが金融危機のリスクを高めている
・また食糧や原油の価格が高いので、ドルやユーロなど、通貨が安くなっている国ではそれが物価高に結びつき、不況と物価高という大変厳しい状況が広がっている
・欧州の危機は続いているし、世界貿易は縮小を続けていますし、日本も今年になって一段と大変なことになってきた。電機、半導体、液晶は業界全体が危機に陥っているし、東電などの昔の優良企業も今はすっかり様変わり。中国ビジネスは今後も縮小しそうだし、上場企業でも大リストラが進行中。消費者心理も大きく落ち込んできている。来年は未曽有の大不況が日本を襲うだろう。

Q:これからどうすればよいのでしょうか。
・今の日本を見ていると政府も役所も銀行も事業会社も、極めて危機感が乏しいところが多い。これが最大のリスクだ。要するに目の前に迫る危機を直視しようとせず、何もせず、ただ成り行き任せにしているところがほとんどではないか。
・テレビが売れない、液晶が売れない、自動車が売れない。中国が難しい。なら次に何を作ってどこに売るかと次の戦略をどんどん出して進めている会社がいくつあるだろうか。
・いつまで新興国を相手に、20世紀の文明の利器の在庫一掃セールをやっているのだろう。
・中小零細企業の救援に使われてきた金融円滑化法が今年度で打ち切りとなる予定だ。またこの1年で経営状況が大きく悪化した大企業がいくつもある。それらはすべて融資している銀行で不良債権や不良債権予備軍を生みだしている。相当な金額に上っているはずであり、株価も下がって含み益も枯渇する中で銀行経営の重大問題になってくるはずだ。しかし抜本的に手を売っているという話は聞こえて来ない。
・政治も与野党ともにほとんどまともな経済政策らしきものがない。だから結局日銀にもっとカネを刷らせ、海外進出だとか技術開発だとかの名目でいつものように大企業に大量のカネを配ることしかできないのではないか。
・野党の中には未だに、かつての小泉・竹中改革の再来で新自由主義政策を取ろうとしているようなところもある。中国など国の上から下まで米国から来た新自由主義に染まってしまってバブルの崩壊で身動きがつかなくなり、それが現在の党を二分する大騒動の原因の一つになっているぐらいだ。時代遅れもはなはだしい。
・厚生労働省は10年後に厚生年金基金は打ち切りだというし、今や年金もどうなるかわからなくなって、人々が投資や消費を控えようとするのは当たり前だ。
・要するに今の政治や経済のリーダーたちは完全に変化に追い越されている。前々から変化を実現できるリーダーなくして本格的景気回復はないと申し上げてきたが、まさに今、そうなっている。
・とにかく今の日本の企業は圧倒的に新商品、新しい取り組みが不足している。世の中が不況でみんな困っているのだからこそ、もっと新しいことをやって、人々のお役に立たなければならない。みなさんの会社は今年に入っていくつ新商品、新しい取り組みを世に出しましたか?
・それから新しい画期的な科学、技術の推進も大切で、たとえば量子物理学、インターネットというような新しい科学、新しい技術が生まれて、どれだけ世の中が進歩し、世の中が変わり、新しい産業や新しい雇用が生まれたでしょうか。
・新しい科学、新しい技術の開発はオールジャパン、あるいは世界一体で、学会とか業界とか役所の縦割りの壁を取り払って未来志向でやらないとだめ。しかし未だに自分の分野のせまい壁の中に閉じこもろうとする人や組織がほとんどではないのか。
・政府は新しい投資銀行を用意すべきだ。不良債権で身動きのつかなくなった金融機関では日本の再建はできない。さらにかつての通産省のように情報や人の連携と交流を熱心に行うべきだ。

Q:日本経済は復活するでしょうか。
・世界が20世紀の秩序から21世紀の秩序に変わりつつあるから、古い時代に戻そうとしても絶対に成功しない。日本人はもともと好奇心旺盛な民族だし、どんどん21世紀らしい新しい文明の利器を作って世に送り出すことが大事だ。さらに特に第1次産業は今まで外国に頼りっぱなしの部分が大きかったから、特に力を入れて立て直すべきだ。それが2次産業、3次産業に新しいチャンスを与える。
・ここまで来るととにかく日本の再生はリーダーにかかっている。何とか来年中には日本再生への動きが明確に見えている必要があるだろう。

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