2012年11月17日土曜日

◆藤原直哉の「日本再生への道」

11月16日NHKラジオ第1放送ビジネス展望 から。

1,日本の7月~9月の成長率が年率3・5%のマイナスとなった

・日本は過去15年間で5回目の景気後退に近づきつつある。

・世界的にもバブルの崩壊、経済の縮小は進んでおり、来年は今年以上に未曽有の経済不況、貿易縮小、金融危機、失業、倒産、それがもたらす政治危機で国内外は大変だろう。中東の戦争リスクもどんどん顕在化している。

・日本でも輸出企業を中心に今後どうしたらよいか途方に暮れている企業が続出している。
・銀行など金融機関も長引く不況で不良債権が積み上がり、莫大な金額のためにどう処理してよいかわからなくなりつつある。

・働く人の実質所得は下がっている。そのため生活者の生活実感は苦しく、来年には所得税や法人税の復興増税が決まっている。しかしそれらがとんでもないところに流用されて、人々は大きく怒っている。消費税の増税についても来年は未曽有の不況だからとても増税など実行できる状況にはない。

2,外国の状況はどうか

・先日の米大統領選挙でオバマが再選されたことは大きな意味を持つ。大企業や大金持ちが史上最高の資金を使ってキャンペーンをやった共和党が敗北した。今やメディアを使った大衆の操作は効かない。すなわち民衆は自分で判断できるようになってきている。ワシントン州、コロラド州では乾燥大麻の嗜好目的での所持、吸引が合法化された。今や各州の人たちが自分たちで何が正しいかを決める時代が来ている。まさに地方から、民衆から政治が動いている。

・民衆が目指すのは大きな米国よりも小さな米国、新自由主義よりも健康と持続可能性を考えたライフスタイル、競争よりも調和と共生、格差是正である。その方向性が今回の選挙結果に出たのではないか。

・オバマが再選されたことで富裕層は増税、巨大金融機関や投機的金融システムは解体と作り直し。国防費削減は継続、国民皆保険は実施。すなわち金持ちや大企業重視の政治からの脱却が支持された。

・さらに連邦議会選挙で上下両院議員の女性比率が過去最高、約5人に1人になり、米国の男性社会に開いた風穴がさらに広がった。

3,日本はどうなる

・そう考えると日本はいつまでも安全や金融や資源を米国に、市場を中国に頼って生きることはできない、さらに世界の安定が失われていくから資源の調達や貿易、世界投資も相当縮小することを前提に、戦略を立てることが必要だ。やはり日本も地方から産業再生、それも第1次産業から抜本的に立て直すことが必要になる。

・また日本でもなお一層の分権化、地場産業の振興、環太平洋、環日本海、東南アジアとの戦略的関係の構築に力を尽くすと同時に、宇宙とか深海といった新しいフロンティア、微生物やナノテクといった新しい科学技術を大規模に実用化して、まったく新しい国に脱皮する必要がある。

・大企業では小回りが利かないからむしろ中小零細企業の競争力を高め、量は少なくても付加価値が高い、世界的シェアが高い商品をあらゆる分野で創造し、日本の町の形や衣食住を今までの20世紀型から21世紀型に変えて行くと同時に、全世界に売っていくバイタリティーが必要だ。

・そしてそれをサポートするための投資銀行、これはオールジャパンで作らなければならないし、産業や地域をコーディネートする政府機能も必要になり、またそれに合わせて今までの教育や医療福祉介護などの体系を根本的に作り直すことが必要になる。

4,相当大きな変化になりますね。

・我々は10年たったら今とはだいぶ違う世の中に住んでいると考えたほうがいい。20世紀のシステムは国内外のどこでも機能不全を起こしているから、それがなくなるのもはやい。

・そしてその後の再生は政治家に任せておけばやってくれるものでもないし、産業界だけできることでもないし、外圧で起きることでもない。思いと実力を持った民衆が各分野から集まって日本再生チームを作って取り組むしかない。それは明治の初めも第二次大戦後にも行われたことであり、これからの政治が果たすべき最大の役割はそうした再生チームが効果的、効率的に機能できるようなリーダーシップを中央および地方で発揮することだ。そのためには今までの既得権益誘導型の政治では全く駄目であり、来年は激しい危機を受けて政治や産業界を根本的に入れ替えなければならない。

・来年は日本の民衆の力が本当に試される年になると思う。


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