2014年3月6日木曜日

❏里山資本主義とは


最近「里山資本主義」という言葉を知りました・・・ロハスの分野です

1,「本」

藻谷浩介 NHK広島取材班


[ 内容 ]
「社会が高齢化するから日本は衰える」は誤っている! 原価0円からの経済再生、コミュニティ復活を果たし、安全保障と地域経済の自立をもたらす究極のバックアップシステムを、日本経済の新しい原理として示す!!

発売日:2013年 07月 09日
電子書籍配信日:2013年 09月 25日
定価(税込): 820円
新書判
ISBN 978-4-04-110512-2-C0233
角川書店



2,里山資本主義とは

●里山資本主義とは?
里山には、代々の先祖が営々と育んできた、自然と共に生きるシステムがあります。そのルールを守っていると、いまの時代でも、水と食料と燃料、それに幾ばくかの現金収入がちゃんと手に入ります。新鮮な野菜に魚、おいしい水、火を囲む楽しい集まり、そして地域の強いきずな。
 都会であくせくサラリーマンをやっている人間よりも、里山暮らしの人間の方が、お金はないけど、はるかに豊かな生活を送っているということを、私は各地で実感しています。
つまり里山にはいまでも、人間が生きていくのに必要な、大切な資本があるのです。これはお金に換算できない、大切な価値です。そうした里山の資源をいかしていくことを、「里山資本主義」という言葉を使って伝えようとしたのが、NHK広島局がつくる「里山資本主義シリーズ」でした。シリーズは最終回を迎えましたけど、「里山は見えない資本なんだ」「お金に換算できない大切なものなんだ」ということを、これからも言って歩こうと思っています。
3,里山の資源で地域が自立する

●里山の資源で地域が自立する

真庭のペレットは、海外にも輸出されている
里山には、お金に換算できない価値だけでなく、21世紀の日本経済にも大変重要な、金銭換算できる価値も眠っています。
 たとえば『革命はここから始まる』で紹介した、木のエネルギー。岡山県真庭市の建材メーカーが、工場で出る木くずで自家発電を始めたところ、年間1億の電気代がゼロになった。しかも余った電気を売電して、毎月400万円も定期収入が入るようになった。
 それまで産業廃棄物として、お金を払って引き取ってもらっていた木くずが、すごいお金に化けたんです。さらには、木くずから燃料ペレットも作って、それが地域の小学校や農家のハウス栽培に使われている。
これには単なるコストダウン以上の意味があります。それまで石油やガスの代金として、県外や国外に出ていっていたお金が、地域で回るようになった。しかも地元で作ったペレットですから、グローバル市場のエネルギー価格の乱高下にも巻き込まれずに済みます。はるばる中東から石油を運んでくるのではなく、目の前の木の資源を活かしてエネルギーの一部を自給することが、地域の自立と安定化につながっているんです。
欧州のオーストリアは、森林資源の活用を日本よりもずっと先まで進めていて、これまでコンクリートで造っていた中高層建築建物を木造中心に切り替えるところにまで手をつけています。『若者は“放棄地”を目指す』で紹介したように、そのために消防関係などの法律も改正しました。木造建築が増えれば、当然、木材加工が増えて木くずも増え、木くずのエネルギー利用がどんどん増えます。木造建築は、断熱効果が高いので、冷暖房代も節約できます。集成材を使えば、火災にも強いのです。そうやってオーストリアは、環境に優しい循環を取り戻そうとしているんです。
7階建てのマンションを木で造るというと、日本人は驚いてしまう。自分たちが、五重の塔や奈良の大仏殿を造ったことを忘れて、いつの間にか大きな建物は木で造ってはいけないと思い込んでいるんです。
 そもそも世界の中で、日本ほど自然が豊かで、木を切っても簡単に再生できる場所はなかなかありません。これだけ木の資源に恵まれているのに、それを活かさずに建物をほとんど木で作らない。ほんの少し木造建築を見直していくだけで、日本の山の価値は大きな勢いで再生していくと思います。少しだけやり方を変えれば、経済的に無価値と思われていた里山が、宝の山になり得るんです。
4,経済のブロック化

里山資本主義とは経済のブロック化か

里山資本主義という言葉が、登場している。
これは、たしかに藻谷浩介(『デフレの正体』の著者)が言い出したのではないかと思うが、ようするに田舎社会(里山)の資源を元にして産業を活用しよう、という地域活性の理念だ。
具体的には、木質バイオマスの利用である。地域社会で、もっとも外部に依存しているのはエネルギーであり、その購入に資金を流出させている。そこで木質バイオマスを利用することで、資金の流出をストップし地域内に滞留させようという発想である。
ここで、木質バイオマスの利用の難しさをあげつらって、せっかくの意見に水をさそうとは思わない。実は珍しくもないバイオマスエネルギーの利用促進案も、地域資金の流出止めという視点から説明してみせたのが斬新だ。
そして地域資源の利用を「里山資本主義」と名付けたのも、お見事。このネーミングで飛びつく人は少なくない。
そこで、改めて私流に里山資本主義を因数分解してみた。
里山には未利用資源がたくさんあるのは間違いない。これを資本とする発想は面白い。そしてエネルギー需要というもっとも外部へ資金が流れ出しやすい穴を防ぐのである。
エネルギーを自給すると、過当競争がなくなり価格変動が減る。また需給バランスをコントロールできるので、ロスが出にくい。仮に外部から購入する化石燃料や原子力エネルギーの方が安くても、無駄を出さず、安定供給が保証される特典で、差額は十分に補てんされるだろう。
これは、ある意味、経済のブロック化である。グローバル化に対抗して、地域内で経済を回すのだ。
もちろん経済そのものは、開かれている。田舎社会だって、収入を得るためには、外部に資源や労働、サービスを販売しなければならない。すべての物資を自給することもできない。
だがエネルギーは輸送・配給がネックとなり自由競争が似合わない産業だけに、ブロック化に向いている。
つまり、条約・協定や法律のような強制力のあるブロック化ではなく、極めて自然に資源と資本と顧客を囲い込むことができる
たとえて言えば、生協など会員制のスーパーマーケットみたいなものか(笑)。外部の人も売ったり買ったりできるんだけど、会員間にはポイントカードみたいな特典もあって、なかなか外に出て行かないし、よそ者が参入できない。ポイントカードを持っている同士の仲間意識なんかもできちゃうかもしれない。
ソフトな囲い込み。ソフトなブロック化。
そういえば、今年は国際協同組合年。里山資本主義は、協同組合資本主義でもあるのかな。

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